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乳房の症状と病気

乳房の痛み

乳房の痛みの原因

 乳房の痛みは、乳腺外来で最も多い主訴で、下図の肋間神経が刺激されることによって起こります。肋間神経は、外圧や炎症、神経の障害、そして神経が敏感になることで起こります。

 

出典:佐貫潤一 他:手術手技 神経解剖に基づいた乳房手術の局所麻酔法.手術60 , 1033-1037,2006

痛みの診断

 痛みの場所、時期、持続期間、他の症状を問診や視触診で確認します。乳がんの細胞は神経に浸潤することが非常に少なく、痛みの症状だけであれば、悪性の可能性は少ないと言えます。一方で、ホルモンの影響で生理前や排卵期に痛みのピークが来ることが多く、35歳前後から60歳前後に多い主訴です。乳がんもこの年齢に多いため、マンモグラフィや超音波検査で、悪性所見のないことを確認します。

痛みの治療

 診断に応じた、治療を行います。ホルモンの不均衡が原因の場合には、症状の軽重と不均衡の種類に応じ、生活指導、漢方薬、鎮痛剤、ホルモンコントロールの薬の処方を行います。

 

乳房のしこり

 乳房のしこりは、乳腺外来で2番目に多い主訴です。乳房の中に、周囲と硬さの異なる塊があった時、私たちは「しこり」を指先で感じることができます。一般的に悪性のしこりは発育するため、「以前には感じなかった硬さの違い」には注意しましょう。

 乳房の中の組織は、細胞の種類や密度によりX線や超音波の通過具合が異なり、また血液の流れも異なります。そのため、マンモグラフィや超音波を受けることで、しこりと周りの組織との違いを、より詳しく検査することができます。「しこり」の変化を自覚したら早めに受診して安心に結びつけましょう。

乳汁分泌・血性乳汁

 授乳期ではないのに、乳頭から分泌乳がでる症状です。分泌乳の色は、白色、透明、褐色、赤、黄など様々ですが、白や透明のものの多くは、ホルモンバランスの乱れによっておこるものです。血が混じって褐色または赤色の場合は、乳がんの症状の可能性がありますので、受診していただくことをお勧めします。特に片側の乳房の1個の孔から血液の混じった乳汁が1週間以上、出つづける場合、早めの受診をお勧めします。大腸にポリープがあって便に血が混じることがあるように、乳管の中に小さなポリープのようなが腫瘍が潜んでいる可能性があります。

腋の下の痛み、しこり

 腋の下には、リンパ節、副乳腺、汗腺、脂肪組織が存在し、その合間を肋間神経の枝が走行しています。主に超音波検査でしこりの原因を診断し、必要と判断すれば針の検査を行います。最近、Covid-19のワクチン接種後にリンパ節が腫れて受診される方が多くなっています。

乳腺症

 ホルモンのバランスが崩れた際に発生する様々な症状の総称をさします。線維腺腫のような良性のしこりや、乳汁分泌、乳房の痛みは、この乳腺症の状態で起こることが多いと言えます。治療を要する病気ではありませんが、中には、細胞の増え方や顔つきが変化して、がん化してしまうリスクのあるものも稀にあります。一度、診療や検診を受けることで、これから何に気をつければ良いか、知ることができます。

線維腺腫

 良性の乳腺のしこりで、超音波やマンモグラフィ検査で診断します。画像の性状によっては、針の検査で診断することもあります。大きくなり続けることはなく、以前から変化しないしこりは線維腺腫を考えます。「がん」が発生することはほとんどありません。同一医療機関で比較をしながら定期検診を受けていくと安心です。

石灰化

 乳房にカルシウムの塊ができることを「石灰化」といいます。マンモグラフィを撮影し、「石灰化」の形態と分布で診断します。良性のものが多いのですが、悪性が疑われる場合は、針による生検で診断します。

のう胞

 乳管がつまって乳汁がたまると、袋状の「のう胞」ができます。多くののう胞は良性ですが、ごく稀に、のう胞内にポリープのような腫瘍が存在することがあり、超音波やマンモグラフィ検査で診断します。のう胞の分布や内部の性状、血性乳汁の有無によっては、MRIや針の検査で適切な診断を行います。

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