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授乳期乳腺炎・乳輪下膿瘍

授乳期乳腺炎

授乳期の乳腺炎は、次の3段階で進行します。原因と症状、治療方法を説明します。

授乳期乳腺炎の診断・治療

① 乳汁を運ぶ乳管が詰まり、乳汁が渋滞を起こすことが原因です。乳汁が乳管でうっ滞すると、痛みや腫れ、赤みを感じます(うっ滞性乳腺炎)。授乳をしっかり行い、乳房マッサージによって溜まった乳汁を排出し、安静にして免疫力を高めることで、90%の患者さんは治ります。

② 乳管の中には、皮膚や赤ちゃんの口の中にいる細菌が付着しています。乳汁が渋滞を起こすと、適度な温度と栄養のある環境で細菌が急速に繁殖します。強い痛みが出て、赤く腫れ、高熱を出すことがあります(感染性乳腺炎)。乳房マッサージや授乳、安静に加え、炎症の部分を冷やしたり抗生物質を使用することで、90%の患者さんは治ります。

③ 感染性乳腺炎が悪化すると、膿の塊を作ります(乳腺膿瘍)。痛みや高熱が出たり、乳汁の出が悪くなりす。乳汁の味が悪くなり、赤ちゃんの飲みが悪くなります。しっかり麻酔をして膿瘍を切開して排出することで、症状は急速に改善します。

感染性乳腺炎の治療

 原因となる細菌の種類は、患者さんの住んでいる地域・時代で、一定の傾向が見られます。当院では、患者さんの原因菌を定期的に調べており、最初に効果の期待できる抗生物質を処方し、同時に細菌培養検査を行います。約20%の患者さんの原因細菌は一般の抗生物質の効きにくいタイプで、症状と検査の結果を見ながら、より効果の期待できる抗生物質に変更することがあります。

847-854 

乳腺膿瘍の治療(切開)

 超音波検査で膿瘍を認めた場合は、膿を迅速かつ効果的に排出させることが大切です。しっかり皮膚麻酔を行い、赤ちゃんが授乳しやすいように乳輪から離れた場所で7mmから10mmの小切開を行います。膿は時間を短縮させ疼痛を最小化させるために、圧迫を避、吸引機を使用して排出します。膿瘍のあった場所にシリコン製のドレーンを留置して処置は終了です。膿の培養検査と採血検査を行います。処置は10分〜20分で終了します。

切開で効果的な膿の排出ができた場合、抗生物質は使用しません。通常、1週間後に再受診していただき、膿瘍の消失を超音波で確認して、ドレーンを抜いて終診となります。

 症状が軽い場合は、切開を行わず、注射器で膿を排出したり、抗生物質の内服で改善を待つこともあります。

乳輪下膿瘍

 

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